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とうじ魔とうじによるコラムなど
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次回イベントが決定しました! 11/19(日)「糸しの音楽」
出演:とうじ魔とうじ、川口義之(栗コーダーカルテット、渋さ知らズ他)、ドラム 田中教順、ゲストパフォーマンス スメリー


● 糸の意図 ●(「とうじ魔とうじ養成ギブス」より一部引用)

バンドを解散し一人になって、僕はようやく気がついた。今まで僕は、何も<見せて>はいなかったのだと。バンドに舞踏家を加えたり、舞台美術を凝ってみても、それは視覚的な演出をライブに取り入れたに過ぎない。見えていたのは「音」ではない。

僕はここで初めて“目で見る音”のコンセプトを打ち出した。もしそれが実現できれば、録音物では意味をなさない、音楽家本人が舞台で生演奏を行なう「ライブ」というものの必然性が成立するだろう。

僕はとりあえず、家にある物を次から次へと手に持って、それでエレキ・ギターを叩いたり擦ったりしてみた。何でこんなことをするかと言うと、どんな素材で音を出しているかを見せれば「音を見せてる」ことになると考えたからだ。

シェーバーによるギター奏法を、何回かステージにかけてみた。でも、これだけではまだ何かが足りない…。
そうだ、ギターが邪魔なのだ!
ギターというのは、最初っから音楽のために作られている道具だ。ならば、シェーバーでギターを弾かずに、シェーバーで何をすればいいのだ?うーん、困った…。
そうだ!ヒゲを剃ればいい。シェーバーでヒゲを剃ることを「音楽化」していけばいいのだ。

僕はギターを捨てて、増幅のためのピックアップだけを使った。目につく物に片っ端からピックアップを取り付けて、音を出してみた。これはとても面白かった。今まで日常に氾濫し過ぎて、気にも止めなかった他愛もない品々の音を、増幅し改めて聞いてみると、とても新鮮に聞こえた。

こんどはピックアップに木綿糸をくくりつけて、その糸をはじいてみた。これも面白かった。真夏に自分の部屋で、近所に音が漏れないように雨戸を閉めきって、熱中して糸を弾き続けた。部屋の中がムンムンしてきて、汗びっしょりになった。手で汗を拭った。拭った手が糸にぶつかり擦れた。「ウィーン」物凄い音がした。まるで楽器のようだった。僕は偶然にも、「濡れ手に糸」の演奏を発見したのだ。1983年のことだった。

以来、僕は試行錯誤しながら糸1本による演奏活動を続けている。もちろん糸以外の“目で見る音”の演奏も。世間はいつしか僕のことを「サウンド・パフォーマー」とか「特殊音楽家」とか呼ぶようになった。


「糸しの音楽」詳細はこちら
http://www004.upp.so-net.ne.jp/toji/information/ito/
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プロフィール

“目で見る音”をコンセプトに、楽器以外の日用品を使い独自のサウンド・パフォーマンスを行う傍ら、コラムの執筆、テレビ・ラジオ出演、講演会、プロデュース他、幅広く活動する特殊音楽家。1987年「たま」の知久寿焼、石川浩司らと「とうじ魔とうじバンド」を結成、ポップ幻想歌謡集『移動式女子高生』を発表。1989年、美術家の松本秋則、舞踏家の村田青朔とのユニット「文殊の知恵熱」を結成。互いのジャンルを超え、さまざまな発想と仕掛けで五感を刺激するパフォーマンスを展開中。

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